セル(Cell)誌が指摘する英語論文での能動態・受動態の使用

学術英語論文執筆,英作文・文法

こんにちは!英文校正ワードバイスです。私たち日本人が英作文をするとき、ポイントとなるのが「能動態」と「受動態」の使用と言えます。受動表現の多い日本語をそのまま英語に直訳しようとするとネイティブから見て不自然な英文になることが多く、「態」にかかわる部分は当社で手掛ける英文書のうちでも多く見られる校正箇所の一つです。今回の記事にて論文における能動・受動表現のポイントをしっかり押さえ、適切に使い分けられるようトレーニングを積みましょう。

 

academic writing

 

能動態 (active voice)

能動態は行動する人、または個体を強調する文法です。

例: Researchers found that high stress can cause heart disease.

受動態 (passive voice)

受動態は行動を受ける人、または個体を強調する文法です。

예: It has been found that heart disease can be caused by high stress.

どちらを使用するのが適切か?

伝統的に学術論文(科学論文)においては、客観性と非人称のトーンを強調するために受動態がより適しているとし、学界にて好まれてきました。しかし、最近では受動態よりも能動態の使用を勧める動きがあります。

受動態を使用しすぎた文章は混乱を呼ぶことがあるからです。また、受動態は文章を間接的で冗長にさせる傾向もあります。一方、能動態は受動態に比べ文章の単語数を少なくすることができ、簡潔な表現にすることができるという特徴があります。よって、アカデミックライティングにおいては受動態と能動態を全体の文脈や表現したいものに応じて使い分けることが望ましいと言えます。

先行研究を紹介しながら自身の研究について述べるIntroductionやDiscussionセクションでは能動態の使用が好ましいでしょう。しかし、段階やプロセスといった形式的部分の正確性が行為者自身よりも強調されるべきMethodセクションでは受動態の使用が適切です。受動態は一般的に次のような場面で使用できます。

  1. 行為者または行為の主体が不明、もしくは重要でないとき
  2. 行為の責任者への言及を意図的に避けるとき
  3. 普遍的事実について述べるとき
  4. 行為の受け手、または行為を受けることそれ自体を強調したいとき

客観性を重視する論文英語の伝統と、日本語使用による受動表現への馴れから、日本人研究者は能動態の使用に違和感を覚える傾向がありますが、海外有名ジャーナルの一つである『セル』誌のエディターはactive voiceの使用を強く奨励しています。彼女は論文への能動態を使用に抵抗を持つなと主張しながら、Cellでは能動態を使用したという理由だけで論文をリジェクトしたことはない、と述べています。彼女はpassive voiceを使用したからといって論文に客観性を付与することにはならないと言います。彼女は“the cells were suspended”が“we suspended the cells”よりも客観的とは読めず、二つの文章はどちらも意見を提示している文章ではないと述べています。一人の人間がどのように文章を執筆しようと、研究をデザインし、実行し、分析した内容については事実を明示しなければなりません。文法上客観性を強調するということは、可能な限り感情と個人的偏見を抑制し、事実を固守するということを意味すると彼女は述べています。

cell

結論としては、「能動態・受動態のどちらが論文をより明確で分かりやすいものにするのか?」ということを判断しながら使い分けるのが大切と言えるでしょう。セル誌の指摘に則るならば、できる限り能動態を使用し、明らかな理由がある場合のみ受動態を使用するのが適切とも言えそうです。また、学術論文での“I”や“we”を使用可否については教授と一度相談されることをお勧めします。

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