効果的な投稿論文カバーレターの書き方

学術ジャーナル投稿
添付ファイル: Cover-Letter-Sampleen-jp2.docx
CoverLetterguide-jp
論文投稿の際に要求されるカバーレターは、皆さんの論文を審査するかどうかの決定に影響を与える大切な書類です。今回はそんなカバーレターを効果的に作成するために、(1) カバーレターが重要な理由、(2) カバーレターに書くべき内容、(3) カバーレターの書き方 の3つに分けて一つ一つガイドラインをお送りいたします。最後にカバーレターで使える表現が満載のテンプレートを掲載していますので、ご参考ください。

カバーレターが重要な理由とは?

研究アイデアの長所を立証するのが論文とするなら、研究の重要性を強調するのに重要なのがカバーレターです。出来の良いカバーレターは研究のアピールに役立ちます。

ジャーナルの論文掲載の判断はビジネスモデルを基盤としているという事実を認識する必要があります。エディターは基本的に読者の関心を引きそうな論文を採択します。端的に言うならば、あなたの論文の掲載がジャーナルの収益に繋がらなくてはなりません。特に論文のタイトルや内容だけで読者の興味をそそるには難しいと思われる場合(例: 論文が狭い範囲の専門的な内容である場合など)、カバーレターを有効に使ってエディターにアピールすることが大事になってきます。

経済的な理由以外にも、エディターの多くはカバーレターを通して著者がジャーナルが提示している最低限の原則を順守しているか確認するための手段と考えています。例えば、ジャーナルのガイドラインでカバーレターには論文の公開・非公開、レビュアーの名前、研究倫理に関する記述を必須としていた場合、一つでも不備があった場合にはそれだけで掲載が見送られる可能性もあります。また、カバーレターが細部まで丁寧に作成されていない場合、論文本体に対する信頼性もゆらぎます。

カバーレターに書くべき内容とは?

何度強調してもし足りないのが、 ターゲットジャーナルの “Guide for Authors”の遵守です。常にエディターの要求事項を最優先しなくてはなりません。必須事項を見逃してしまったらそれだけで大減点となってしまうからです。

以下でジャーナルカバーレターの必須事項と避けるべき事項を見てみましょう。

必須記載事項:

  • エディター氏名 (分かっている場合)
  • 投稿しようとするジャーナル
  • 論文タイトル
  • 論文の種類 (レビュー論文、研究論文、ケーススタディなど)
  • 投稿日
  • 研究の背景と研究テーマ
  • 使用した研究方法の概要
  • 主要な研究結果とその重要性 (自分の研究結果がその分野の知識をどのように発展させられるのか)
  • 著者の連絡先
  • その論文は今までジャーナルに記載されたことがなく、現在審査中にもないということ
  • その論文のすべての共著者・共同研究者が論文の投稿に同意しているということ

その他一般的に含まれる内容:

  • 投稿するジャーナルに記載されたことのある論文のうち、自分の研究と似ている論文のリスト
  • 自分や共著者が今までジャーナルに投稿し受理された、あるいは現在審査中にある論文のリストや本文のコピー
  • ジャーナルエディターと議論になった事項について (例: カンファレンスでエディターと研究テーマについて議論した場合など)
  • 自分の論文を評価するのに必要とされる専門知識
  • 希望する査読者の名前と連絡先情報
  • 必要な場合は、査読者からの除外を希望する査読者
  • ジャーナルが要求する文言 (例: 研究倫理の順守、利害関係の衝突がないこと、投稿条件への同意、著作権に関する声明など)

避けるべき事項:

  • 専門用語や略語の濫用
  • 研究結果やその重要性の誇張。“novel,” “first ever,” や “paradigm-changing”のような単語は避ける。このようなフレーズはかえって偏向性を強調するだけであり、研究者としての冷静かつ客観的な視点の欠如と見做される。
  • 支持者の名前を羅列しない。自分の論文を支持する人々の名前を列挙してみても、エディターの関心を引くことはできない。論文や自分の名声よりも、その論文がジャーナルのカバーする範囲と性格に合致していることをアピールする。
  • 小説のように書かないこと。分量は1ページまでとし、カバーレターは論文を簡潔に紹介することに主目的があることを忘れない。
  • ユーモアを乱発しない。ジャーナルエディターの関心を引こうとしているうちに、カバーレター本来の目的から外れたものとなってしまう危険性が高いため。

カバーレターの構成

カバーレターでは格式ある文体を使用します。論文はオンラインで提出する場合が大部分であるため、下にEメール形式のフォーマットを準備してみました。手紙形式(PDF形式や原本を郵送するとき)の場合は、連絡先情報をページの左上に配置してみましょう。(既定のレターヘッドがあり、連絡先が上段中央に来る仕様の場合を除く)

※添付のワード文書にて英語&日本語訳バージョンのカバーレターテンプレートをダウンロードできます。

 

●ジャーナルカバーレター書式●

 

[エディター氏名][大学院学位(ある場合)]
TIP: 受信者の名前と学位を記載するのが一般的です。
例: John Smith, MD or Carolyn Daniels, MPH
[肩書き]
例: Editor-in-Chief, Managing Editor, Co-Editors-in-Chief
[ジャーナル名]
[ジャーナルの住所]

[投稿年月日]

Dear Dr./Mr./Ms. [エディターの苗字]:

TIP: エディターの名前が分からない場合は “Dear Managing Editor:” や “Dear Editor-in-Chief:”のようにターゲットジャーナルで使用されている肩書きを使用します。でも可能な限りはエディターの名前を使用するようにしたいものです。ジャーナルのウェブサイトの情報は古い可能性があるので、確実でない場合は該当ジャーナルに連絡し、カバーレターの宛名をどうすればいいか確認するのが良いでしょう。

TIP: 格式高いビジネス文書では“Ms.”を使用します。“Mrs.” や “Miss”を使用してはいけません。

TIP: 絶対に”Dear Sirs”やこれと類似する表現を使用してはいけません。ジャーナルエディターは女性である場合が多く、このような表現は侮辱として受け止められるからです。

[段落 1: 2–3 文で] I am writing to submit our manuscript entitled, ["タイトル"] for consideration as a [ジャーナル名][論文タイプ]. [研究デザイン、研究テーマ、主要研究結果および結論を要約した1-2文]

例: I am writing to submit our manuscript entitled, “X Marks the Spot” for consideration as an Awesome Science Journal research article. We examined the efficacy of using X factors as indicators for depression in Y subjects in Z regions through a 12-month prospective cohort study and can confirm that monitoring the levels of X is critical to identifying the onset of depression, regardless of geographical influences.

TIP: 研究結果と結論について述べる際に使える英語表現:

  • Our findings confirm that…
  • We have determined that…
  • Our results suggest…
  • We found that…
  • We illustrate…
  • Our findings reveal…
  • Our study clarifies…
  • Our research corroborates…
  • Our results establish…
  • Our work substantiates…

[段落 2: 2–5 文で] Given that [その研究を始めた背景], we believe that the findings presented in our paper will appeal to the [ジャーナルの読者層] who subscribe to [ジャーナル名]. Our findings will allow your readers to [identify the aspects of the journal's Aim and Scope that align with your paper (自分の論文に合ったジャーナルの目的とテーマ)].

TIP: 自らの研究が該当分野におけるジャーナル読者の知識にどのように貢献できるのか把握し、的確な内容でアピールすることが大切です。例えば、ターゲットジャーナル読者層は学界での研究結果が実際の公共政策に及ぼす影響について関心が高いと分かっている場合は、自分の研究から導き出された結論が実社会のイシューを解決する政策を立てていくにあたってどのように役立つのかに焦点を当てて論じると効果的でしょう。

TIP: 研究を行う理由についての記述を、研究の背景とします。

例: “Given the struggle policymakers have had to define proper criteria to diagnose the onset of depression in teenagers, we felt compelled to identify a cost-effective and universal methodology that local school administrators can use to screen students.”

TIP: 自分の研究が先行研究の影響を受けている場合はそのことに言及します。記述例: “After initially researching X, Y approached us to conduct a follow-up study that examined Z. While pursuing this project, we discovered [論文投稿によって同分野の研究者と共有したいと思った新しい発見事項]“

例: Given the alarming increase in depression rates among teenagers and the lack of any uniform practical tests for screening students, we believe that the findings presented in our paper will appeal to education policymakers who subscribe to The Journal of Education. Although prior research has identified a few methods that could be used in depression screening, such as X and Y, the applications developed from those findings have been cost-prohibitive and difficult to administer on a national level. Thus, our findings will allow your readers to understand the factors involved in identifying the onset of depression in teenagers better and develop more cost-effective screening procedures that can be employed nationally. In so doing, we hope that our research advances the toolset needed to combat the concerns preoccupying the minds of many school administrators.

[段落 3: 類似研究] “This manuscript expands on the prior research conducted and published by [論文著者] in [ジャーナル名]” または “This paper [examines a different aspect of]/ [takes a different approach to] the issues explored in the following papers also published by [ジャーナル名].”

  1. 研究 1
  2. 研究 2
  3. 研究 3…

TIP: ターゲットジャーナルに掲載された類似研究があればそれについて必ず言及するようにしますが、その数は5個以下とします。一つの論文についてのみ触れる場合は、前の文章を“This paper [examines a different aspect of]/ [takes a different approach to] the issues explored by [著者] in [論文タイトル], also published by [ジャーナル名] on [日付]”とします。

[段落 4: よく追加されるフレーズ] Each of the authors confirms that this manuscript has not been previously published and is not currently under consideration by any other journal. Additionally, all of the authors have approved the contents of this paper and have agreed to the [ジャーナル名]‘s submission policies.

TIP: 以前に研究の一部を公開・共有したことがある場合はそのことについて記載します。例えば: “We have presented a subset of our findings [at 学会など]/ [as 出版物など ] in [位置] in [年度].”

例: We have since expanded the scope of our research to contemplate international feasibility and acquired additional data that has helped us to develop a new understanding of geographical influences.

[段落 5: 査読者について] 査読がある場合、研究に対し客観的な評価ができるだけのバックグラウンドを持った査読者を提案・推薦することができます。

  • [名前、所属機関、Eメールアドレス、専門分野]
  • [名前、所属機関、Eメールアドレス、専門分野]
  • [名前、所属機関、Eメールアドレス、専門分野]…

上で推薦する査読者は、金銭的あるいはその他の利害関係が伴ってはいけません。

TIP: ジャーナルは論文著者が提案した査読者のうち少なくとも一人は査読者として任命するのが原則であるため、3~5人の希望査読者を記載しておきましょう。

TIP: 文中で使われている用語は全てターゲットジャーナルが使用しているもの(“reviewer”・“refree”など)に合わせます。カバーレターでの細かい用語使用まで徹底的にジャーナルに合わせることで、投稿者がターゲットジャーナルについて熟知しており、投稿論文もきちんとジャーナルの規定に合わせたものであることを示すことができます。

[段落 6: よく追加されるフレーズ] Each named author has substantially contributed to conducting the underlying research and drafting this manuscript. Additionally, to the best of our knowledge, the named authors have no conflict of interest, financial or otherwise.

Sincerely,

 

[名前]

送り主の名前
職位
所属機関
[所属機関の所在地]
[Eメールアドレス]
[電話番号: (国番号・市外局番含む)]
[FAX: (国番号・市外局番含む)]

追加連絡先 [連絡担当者に連絡がつかない場合]
所属機関
[所属機関の所在地]
[Eメールアドレス]
[電話番号: (国番号・市外局番含む)]
[FAX: (国番号・市外局番含む)]

カバーレター提出前チェックリスト

  1. フォントはArial または Times New Roman、文字の大きさは12ポイントとする。
  2. 全てのテキストはsingle-spaceに設定。
  3. 段落ごとに一行空ける。
  4. 段落の最初にインデントは使用しない。
  5. テキストはすべて左揃えとする。
  6. スペルと文法の校閲ソフトを必ず使用する。可能であれば必ずネイティブチェックを受けるようにする。
  7. ジャーナルエディターの名前を再度確認する。不安な場合は必ずジャーナルに連絡の上、直接確認する。

カバーレターに作成法関するリンク

  1. http://blogs.nature.com/methagora/2013/09/how-to-write-a-cover-letter.html (カバーレターの書き方に関するNature のブログ)
  2. https://www.springer.com/gp/authors-editors/authorandreviewertutorials/submitting-to-a-journal-and-peer-review/cover-letters/10285574 (カバーレターの書き方に関するSpringer ブログ)
  3. http://www.biosciencewriters.com/Writing-Cover-Letters-for-Scientific-Manuscripts.aspx (科学論文のカバーレター作成方法についてのBioScience Writers ブログ)
  4. jgimed.org/authors/JGIM-cover-letter-templates.doc (JGIM カバーレター書式)
  5. http://www.nature.com/ni/journal/v9/n2/full/ni0208-107.html (Nature Immunologyの “Prelude to a good story”)

English简体中文繁體中文Türkçe バージョンもご用意しております。

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