2023年03月01日

効果的な投稿論文英文カバーレターの書き方

Wordvice

こんにちは!英文校正ワードバイスです。論文投稿の際に要求されるカバーレターは、エディターが皆さんの論文を審査するかどうかの最初の決定に影響を与える大切な書類です。今回はそんなカバーレターを効果的に作成するために、

  1. カバーレターが重要な理由
  2. カバーレターに書くべき内容
  3. カバーレターの書き方

以上の3つに分け、一つ一つガイドラインをお送りいたします。最後にカバーレターで使える表現が満載の無料テンプレートを掲載していますので、ぜひご活用ください。

カバーレターが重要な理由とは?

研究アイデアの長所を立証するのが論文とするなら、研究の重要性を強調するのに重要なのがカバーレターです。出来の良いカバーレターは研究のアピールに役立ちます。

カバーレターの役割を考えるにあたってまず知っておかなければならないのが、ジャーナルの論文掲載の判断はビジネスモデルを基盤としているという事実です。つまり、論文のアクセプト・リジェクトはその論文を掲載することで最終的にジャーナルの収益に繋がるかどうかの判断によると言うことができます。そのため、エディターは基本的に読者の関心を引きそうな論文を選びます。特に論文のタイトルや内容だけで幅広い読者にアピールするには難しいと思われる場合は(例: 論文が狭い範囲の専門的な内容である場合など)、カバーレターを有効に使ってエディターにアピールすることが大事になってきます。

また、カバーレターは単に論文のアピール道具としてだけではなく、エディターが著者の態度を見極めるための資料としての役割も担っています。論文本体に先立ってカバーレターを読むだけでも、論文投稿プロセスにおける著者の態度や、論文の出来について推し量ることができてしまいます。例えば、ジャーナルのガイドラインでカバーレターに論文へのアクセス方式(オープン・クローズ)の選択、希望する査読者名、研究倫理に関する記述を必須としていた場合、そのうち一つでも不備がある場合にはそれだけで論文審査が見送られる可能性もあります。たった一枚のカバーレターさえ規定に則って作成できていないのに、数十ページに及ぶ論文本体を読む価値はないと判断されても仕方がないということです。

カバーレターの構成要素

カバーレターを作成する上で重要なのは、一にも二にもターゲットジャーナルの “Guide for Authors”の遵守です。常にエディターの要求事項を最優先しなくてはなりません。必須事項を守れていなければ、どれだけ一生懸命アピールしても無駄になってしまうからです。

以下でジャーナルカバーレターの記載事項として一般的なものと、作成上の注意点を挙げておきます。

必須記載事項:

  • エディター氏名 (分かっている場合)
  • 投稿しようとするジャーナル
  • 論文タイトル
  • 論文の種類 (レビュー論文、研究論文、ケーススタディなど)
  • 投稿日
  • 研究の背景と研究テーマ
  • 使用した研究方法の概要
  • 主要な研究結果とその重要性 (自分の研究結果がその分野の知識をどのように発展させられるのか)
  • 著者の連絡先
  • その論文は今までジャーナルに記載されたことがなく、現在審査中にもないということ
  • その論文のすべての共著者・共同研究者が論文の投稿に同意しているということ

その他一般的に含まれる内容:

  • 投稿するジャーナルに記載されたことのある論文のうち、自分の研究と似ている論文のリスト
  • 自分や共著者が今までジャーナルに投稿し受理された、あるいは現在審査中にある論文のリストや本文のコピー
  • ジャーナルエディターと議論になった事項について (例: 以前に学会で既にエディターと研究テーマについて議論したことがある場合など)
  • 自分の論文を評価するのに必要とされる専門知識
  • 希望する査読者の名前と連絡先情報
  • 査読者からの除外を希望する査読者(特別に必要な場合のみ)
  • ジャーナルが要求する文言 (例: 研究倫理の順守、利害関係の衝突がないこと、投稿条件への同意、著作権に関する声明など)

カバーレターで気を付けること:

  • 専門用語や略語を濫用しない
  • 研究結果やその重要性を誇張しない。“novel,” “first ever,” や “paradigm-changing”のような非科学的な表現の使用は避けること。このようなフレーズはかえって偏向性を強調するだけであり、研究者としての冷静かつ客観的な視点の欠如と見做される。(こちらの記事を参考: 11 steps to structuring a science paper editors will take seriously (elsevier))
  • 支持者の名前を羅列しない。自分の論文を支持する人々の名前を列挙しても、エディターの関心を引くことはできない。論文や自分の名声よりも、その論文がジャーナルのカバーする範囲と性格に合致していることをアピールすることが最も重要。
  • 小説のように書かない。分量は1ページまでとし、カバーレターは論文を簡潔に紹介することに主目的があることを忘れない。
  • ユーモアを使いすぎない。ジャーナルエディターの関心を引こうとしているうちに、カバーレター本来の目的から外れたものとなってしまう危険性が高いため。

カバーレターの構成

カバーレターでは格式ある文体を使用します。論文はオンラインで提出する場合が大部分であるため、下にEメール形式のフォーマットを準備してみました。手紙形式(PDF形式や原本を郵送するとき)の場合は、連絡先情報をページの左上に配置してみましょう。(既定のレターヘッドがあり、連絡先が上段中央に来る仕様の場合を除く)


●ジャーナルカバーレター書式●

[エディター氏名][大学院学位(ある場合)]

TIP: 受信者の名前と学位を記載するのが一般的です。
例: John Smith, MD or Carolyn Daniels, MPH

[肩書き]

例: Editor-in-Chief, Managing Editor, Co-Editors-in-Chief

[ジャーナル名]

[ジャーナルの住所]

[投稿年月日]

Dear Dr./Mr./Ms. [エディターの苗字]:

TIP: エディターの名前が分からない場合は “Dear Managing Editor:” や “Dear Editor-in-Chief:”のようにターゲットジャーナルで使用されている肩書きを使用します。でも可能な限りはエディターの名前を使用するようにしたいものです。ジャーナルのウェブサイトの情報は古い可能性があるので、確実でない場合は該当ジャーナルに連絡し、カバーレターの宛名をどうすればいいか確認するのが良いでしょう。

TIP: 格式高いビジネス文書では“Ms.”を使用します。“Mrs.” や “Miss”を使用してはいけません。

TIP: 絶対に”Dear Sirs”のような表現を使用してはいけません。ジャーナルエディターは女性である場合が多く、このような表現は侮辱として受け止められるからです。

[段落 1: 2–3 文で] I am writing to submit our manuscript entitled, [“タイトル”] for consideration as a [ジャーナル名][論文タイプ]. [研究デザイン、研究テーマ、主要研究結果および結論を要約した1-2文]

例: I am writing to submit our manuscript entitled, “X Marks the Spot” for consideration as an Awesome Science Journal research article. We examined the efficacy of using X factors as indicators for depression in Y subjects in Z regions through a 12-month prospective cohort study and can confirm that monitoring the levels of X is critical to identifying the onset of depression, regardless of geographical influences.

TIP: 研究結果と結論について述べる際に使える英語表現:

  • Our findings confirm that…
  • We have determined that…
  • Our results suggest…
  • We found that…
  • We illustrate…
  • Our findings reveal…
  • Our study clarifies…
  • Our research corroborates…
  • Our results establish…
  • Our work substantiates…

[段落 2: 2–5 文で] Given that [その研究を始めた背景], we believe that the findings presented in our paper will appeal to the [ジャーナルの読者層] who subscribe to [ジャーナル名]. Our findings will allow your readers to [(自分の論文に合ったジャーナルの目的とテーマ)].

TIP: 自らの研究が該当分野におけるジャーナル読者の知識にどのように貢献できるのか把握し、的確な内容でアピールすることが大切です。例えば、ターゲットジャーナル読者層は学界での研究結果が実際の公共政策に及ぼす影響について関心が高いと分かっている場合は、自分の研究から導き出された結論が実社会のイシューを解決するための政策を立てていく上でどう役立つのかということに焦点を当てて論じると効果的でしょう。

TIP: 研究を行う理由についての記述を、研究の背景とします。

例: “Given the struggle policymakers have had to define proper criteria to diagnose the onset of depression in teenagers, we felt compelled to identify a cost-effective and universal methodology that local school administrators can use to screen students.”

TIP: 自分の研究が先行研究の影響を受けている場合はそのことに言及します。記述例: “After initially researching X, Y approached us to conduct a follow-up study that examined Z. While pursuing this project, we discovered [論文投稿によって同分野の研究者と共有したいと思った新しい発見事項]“

例: Given the alarming increase in depression rates among teenagers and the lack of any uniform practical tests for screening students, we believe that the findings presented in our paper will appeal to education policymakers who subscribe to The Journal of Education. Although prior research has identified a few methods that could be used in depression screening, such as X and Y, the applications developed from those findings have been cost-prohibitive and difficult to administer on a national level. Thus, our findings will allow your readers to understand the factors involved in identifying the onset of depression in teenagers better and develop more cost-effective screening procedures that can be employed nationally. In so doing, we hope that our research advances the toolset needed to combat the concerns preoccupying the minds of many school administrators.

[段落 3: 先行・類似研究] “This manuscript expands on the prior research conducted and published by [論文著者] in [ジャーナル名]” または “This paper [examines a different aspect of]/ [takes a different approach to] the issues explored in the following papers also published by [ジャーナル名].”

  1. 研究 1
  2. 研究 2
  3. 研究 3…

TIP: ターゲットジャーナルに掲載された類似研究があればそれについて必ず言及するようにしますが、その数は5個以下とします。一つの論文についてのみ触れる場合は、前の文章を“This paper [examines a different aspect of]/ [takes a different approach to] the issues explored by [著者] in [論文タイトル], also published by [ジャーナル名] on [日付]”とします。

[段落 4: よく追加されるフレーズ] Each of the authors confirms that this manuscript has not been previously published and is not currently under consideration by any other journal. Additionally, all of the authors have approved the contents of this paper and have agreed to the [ジャーナル名]‘s submission policies.

TIP: 以前に研究の一部を公開・共有したことがある場合はそのことについて記載します。例えば: “We have presented a subset of our findings [at 学会など]/ [as 出版物など ] in [位置] in [年度].”

例: We have since expanded the scope of our research to contemplate international feasibility and acquired additional data that has helped us to develop a new understanding of geographical influences.

[段落 5: 査読者について] 査読がある場合、研究に対し客観的な評価ができるだけのバックグラウンドを持った査読者を提案することができます。

  • [名前、所属機関、Eメールアドレス、専門分野]
  • [名前、所属機関、Eメールアドレス、専門分野]
  • [名前、所属機関、Eメールアドレス、専門分野]…

上で希望する査読者は、金銭的あるいはその他の利害関係が伴ってはいけません。

TIP: ジャーナルは論文著者が提案した査読者のうち少なくとも一人は査読者として任命するのが原則であるため、3~5人の希望査読者を記載しておきましょう。

TIP: 文中で使われている用語は全てターゲットジャーナルが使用しているもの(“reviewer”・“refree”など)に合わせます。カバーレターでの細かい用語使用まで徹底的にジャーナルに合わせることで、投稿者がターゲットジャーナルについて熟知しており、投稿論文もきちんとジャーナルの規定に合わせたものであることを示すことができます。

[段落 6: よく追加されるフレーズ] Each named author has substantially contributed to conducting the underlying research and drafting this manuscript. Additionally, to the best of our knowledge, the named authors have no conflict of interest, financial or otherwise.

Sincerely,

[名前]

送り主の名前
職位
所属機関
[所属機関の所在地]
[Eメールアドレス]
[電話番号: (国番号・市外局番含む)]
[FAX: (国番号・市外局番含む)]

追加連絡先 [連絡担当者に連絡がつかない場合]
所属機関
[所属機関の所在地]
[Eメールアドレス]
[電話番号: (国番号・市外局番含む)]
[FAX: (国番号・市外局番含む)]

カバーレター提出前チェックリスト

  1. フォントはArialまたは Times New Roman、文字の大きさは12とする。
  2. 全てのテキストはシングルスペースで作成。
  3. 段落ごとに一行空ける。
  4. 段落の最初はインデントしない。
  5. テキストはすべて左揃えとする。
  6. スペルと文法の校閲ソフトを必ず使用する。可能であれば必ずネイティブチェックを受けるようにする。
  7. ジャーナルエディターの名前を再度確認する。不安な場合は必ずジャーナルに連絡の上、直接確認する。

カバーレター作成お役立ち資料

  1. カバーレターの書き方に関するSpringer ブログ
  2. 科学論文のカバーレター作成方法についてのBioScience Writers ブログ
  3. Nature Immunologyの “Prelude to a good story”

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この記事は、简体中文繁體中文Türkçe バージョンもご用意しています。

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