ジャーナル受理率向上のための英文アブストラクト作成戦略

英語論文執筆

こんにちは!英文校正ワードバイスです。学術界もデジタルの時代を迎え、学術論文であっても人々の関心を集めるために様々な戦略が必要な状況になっています。

デジタル時代がもたらす効果として留意すべきなのが、情報があふれかえる中で人々が一つ一つの情報の取捨選択にかける時間が短くなっているという点です。つまり、増えすぎた情報を効率的に処理するため、重要な情報だけを要約して接しようとする傾向が強まっています。各種まとめサイトの台頭などもそれを物語る現象と言うことができるでしょう。

これを学術界で言うならば、論文を読むか読まないかの選択において、タイトルやアブストラクトなど「見出し」となる情報の重要性がかつてないほど高まっているということを意味します。

あなたは、そのような気の早い読者に対して、論文の価値をどのようにアピールしますか?

今回は、アブストラクトの作成ガイドとお送りいたします。

論文抄録(abstract)とは

アブストラクトは読者が論文に触れる最初の扉のようなものです。ジャーナルの査読でも、アブストラクトは本文に先立って評価される大変重要な役割を担っています。200~300単語にすぎないこの抄録の完成度次第で、論文本体への評価が大いに左右されてしまうわけです。

抄録は、単に論文を紹介する以上の効果を持っています。ご存知の通りアブストラクトは単体で本文の代わりとして扱われることも多く、論文の付録やカバー程度のものと考えてはいけません。アブストラクトだけを読んでも、論文のエッセンスを無理なく理解できる必要があるのです。

こちらの記事で詳細に紹介しているように、アブストラクトは、主に3つに分けることができます。

  • 叙述型(Descriptive):100ワード以下の短い文章になる場合が多く、研究での問い(research question)や研究方法、研究範囲などの要素を記述する。結果や結論については触れない。
  • 情報型(Informative):最も多く見られる類型であり、論文内の主な論証、結果、証拠、結論について説明する形式。長さはジャーナルの規定によって異なるが、おおむね本文の10% 未満(200–300単語)。
  • 批評型(Critical):先行研究・文献の検討を中心とする論文の場合に主に使用され、通常の研究論文ではあまり使用されない。批評型では文献レビューにて扱っている先行研究・文献について批判的に説明する。他の二つの型とは異なり、文献に対する批判的検討や改善事項などをアブストラクトで述べることがある。

今回の記事では最も多く用いられている「情報型アブストラクト」について扱います。

アブストラクト(abstract)の役割

上でも言及しましたが、アブストラクトは重要な役割をいくつも担っています。

  • 電子データベースでのインデックスを助ける
  • 学術論文の要旨だけを本文に先立ち読めるようにする
  • 提案書としての論文の場合、研究の方針を簡略に確認できる
  • 査読者が査読を引き受けるかどうかの判断材料
  • カバーレターと共にジャーナル投稿の最初の関門であるエディター評価の要素となる
  • 引用する論文を探す研究者の判断対象となる

学術ジャーナル投稿に限らず学会での論文発表、修士・博士論文はもちろん、学術文献や各種研究助成金(research grants)への応募での審査対象となるのもアブストラクトです。

アブストラクト(abstract)の構成要素

どのような形式でアブストラクトを作成するにしろ、以下の内容は基本的に含まれている必要があります。

  • 研究の意義。その研究が重要性を持って認識されるべき理由(簡単な研究背景と研究の広い意義)
  • 研究課題と、それを解決することが該当分野でなぜ重要なのか。
  • 課題解決のために使用した方法の説明。(定性vs定量、経験的vs理論的、実験モデル、研究タイプなど)
  • 研究課題に対して導き出された結果。主要な研究結果について。
  • 展望。研究結果が人々の生活に、また他の研究にどのように応用できるのか。(研究結果の持つ影響力を展望)

読者はアブストラクトを流し読みして終わることも多いため、最初の文章が最も重要になります。ジャーナルが別途アブストラクトの記述方法について指定してない限り、一般的に上の順序に従って内容を展開させていきます。

抄録は論文の代表として扱われるため、検索エンジン最適化を行う必要があります。つまり、適切なキーワードを含んでいる必要があります。キーワードは必ず本文で使用している用語と一致していなければなりません。研究を代表する6つ程度の重要キーワードを設定し、そのキーワードが本当に該当分野にて正式に使用されている用語と一致しているかどうか確認しましょう。スペルや語法が少しでも異なると検索でヒットせず、ターゲット読者に届かなくなります。逆にキーワードが独占的であればあるほど検索結果にて上位表示されるようになりますが、あまりにも特殊な用語を使用すると検索自体がされないため、効果的ではありません。

アブストラクト(abstract)に書くべきでない内容

抄録には論文のエッセンスのみを詰め込む必要があります。したがって、論文の「主題」から外れた内容が含まれていてはいけません。また、抄録はあなたの論文を代表する役割を担うのであって、他の論文を紹介するための場ではありません。他の論文の引用で貴重な単語数を消費せずに、自分の論文の核心となる内容に絞り込みましょう。

アブストラクト(abstract)の作成ガイド

抄録の完成度はジャーナル投稿において非常に重要な要素となるため、細心の注意を払って作成する必要があります。論文全体を踏まえた内容となっている必要があるため、論文の全セクションを書き上げた後、最後に作成することが望まれます。

次のガイドをご参考ください。

  • アブストラクトをアウトラインと同様に考える
  • 論文のセクション毎に核心的な内容を示す文章を1~2文ずつピックアップしてみる
  • アブストラクトを構成する要素・段落がすべて論文の軸となる主題に関わっているか確認する
  • 論文の核心である序論(Introduction)や考察・結論(Discussion/Conclusion)セクションの内容が抄録にしっかりと反映されているか確認する
  • 抄録は一から新しく書くのではなく、論文から主題文とアイディアを抜き出し、それをスムーズに繋げていくように作成すると良い

抄録の良い例・悪い例

良い例 悪い例
論文の核心的な主題ついて強調する 論文内から読み取れない事項について強調している
自分の研究分野やターゲット読者に向けて適切な形で研究の重要性を述べている 参考文献から引用に多くの分量を割いている*どうしても必要な場合は簡単な引用をすることもできますが、多くの場合でアブストラクトでの文献引用は不適切と見なされます。
該当分野の研究者が一般的に使用する標準用語をキーワードとして設定している。 特殊な専門用語や略語を多用している。
論文全体の内容を的確に判断できるだけの情報を過不足なく含んでいる。統計的有意性を示すのに不可欠なp値などは、括弧内に簡潔に表記している。 統計に使用した方法、臨床研究における一般的に安全性テスト、統計基準など研究方法に関わる詳細事項についてすべて記載している。

アブストラクトの執筆を複雑に考えすぎて、立ち止まってしまっている方もいらっしゃるのではないでしょうか。そんな時はぜひ上記の内容を参考に頭の中を整理し、一度ガイドに則ってシンプルに内容を構成してみましょう。また、アブストラクトがちょうど完成したばかりという方も上記の内容を見直し、内容に不足がないか、また不必要な情報を詳細に記述しすぎていないかなどチェックしてみましょう。

以下からも名門大学が推薦するアブストラクトガイドなどが確認できますので、ぜひご参考ください。

 

参考資料

アブストラクトに関する過去記事

 

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