2023年03月01日

英語論文での研究方法(Methods)の書き方

Wordvice

こんにちは英文校正ワードバイスです。

研究者は新しい発見を共有し、様々なテーマに対する大衆の理解度を向上させるために自分の研究を論文として発表します。以前の記事にて触れたように、ジャーナルの編集者が掲載論文を選ぶ際考慮する要素のうち一つが方法論(methodology)です。論文は、研究結果だけでなく研究結果を得るまでのプロセスと導き出された結論の根拠についても、論理的に説明しなくてはなりません。また、読者がその実験を再現し、結果の妥当性を評価することができるようにすることが研究方法セクションの意義とも言えます。

Methodsセクションは何よりも明確であることが求められます。研究方法とは実際に使用した研究手順と方法を記述するためのセクションです。つまり、読者がその研究において「何を、どうやって、なぜ」行ったのかということをメソッド部分から理解できるように作成しなければなりません。

普通、研究を始める際既に使用する方法が定まっているため、方法論部分の下書きを一番先に行う研究者は多いでしょう。(1) 研究課程で行われた修正事項を反映するために方法論に修正を加えなければならない場合や、(2)ジャーナルの査読者から受けたフィードバックを論文に反映させなければならない場合などは、最後に研究方法部分も修正する必要があります。

研究方法に書くべき内容

基本的にMethodsは研究対象と変数の選択理由、それを処理・観察する方法、データを収集・分析する方法が含まれなければなりません。5W1H(誰が、何を、いつ、どこで、どうやって、なぜ)に基づいて考えると分かりやすいでしょう。すべての研究過程を記述する必要はありませんが、最低でも他の研究者が実験を再現するために必要な実験過程・方法については記述しなければなりません。

研究方法の記述形式

ジャーナル毎にMethodsセクションのフォーマットに関して具体的な要件を提示していることが多いため、まずはターゲットジャーナルの“Guide for Authors”をしっかりと確認しましょう。一般的に研究方法セクションには大きく分けて次の4つの要素に関する情報を記載します。

  1. 研究デザイン – Study design: 研究目的をどうやって達成しようとするのか、研究の末に導き出した結論と実験プロセスに関して提起されうる議論に対し、どのように答えるかということについて記述します。また、自身が設計した研究デザインが偶発誤差(random error)と系統誤差(systematic error)をどのように統制できるか説明し、読者が研究結果の妥当性と正確性を判断できるようにしなければなりません。
  2. 研究対象 – Test subjects (対象選抜基準と方法): 論文で提示した研究結果に対して読者が持ちうる疑問を解消するために、研究対象について明確な説明を行います。
  3. データ収集 – Data collection (基準と方法): 読者が研究を信頼できる根拠を与えなくてはなりません。偏重(bias)について十分に説明し、研究結果に影響を与えうるすべての変数を統制したことを証明します。
  4. データ分析 – Data analysis: データ分析方法を説明することで、読者が該当データから期待する結論が導き出されることの妥当性を理解できるようにします。

下の表では、Methodsを作成・修正する際に考慮すべき要素の一部を紹介しています。この表でMethods部分に入るべき事項が何か、一目で確認できます。

項目

考慮すべき、扱うべき要素

研究デザイン

(一般的に導入部分に記述)

  • 研究テーマについて既に明らかになっている情報
  • 研究タイプ(記述的、分析的、比較、介入、観察研究など)
  • 変数とそれに合った実験対象
  • データ収集頻度および時期
  • 予測モデルおよび結果に影響を与えうる要素の統制方法
  • 実験実行可能性とそれに応じた研究デザイン変更の必要性の有無について。

研究対象 (選択基準と方法)

  • 倫理的考慮事項 (すべての動物および人間を対象とする研究は研究プロトコルに対する倫理委員会の承認、臨床試験対象の事前同意が必要)
  • 研究背景 (時間、場所など)
  • 生物 (人や動物): 人口学的・臨床学的条件、性別、体重、種、年齢、特別事項、生活条件など
  • 実験開始前に研究対象に対し課せられたすべての準備手順
  • サンプリング方法(ターゲット集団、標本抽出方法、使用された実験器具、層化(stratification)、群衆化(clustering)、加重値(weighting)
  • 研究対象の募集方法・その効率性(実験参加を拒否した対象のプロフィールが必要な場合もあり)
  • 比較研究の場合: グループ分け及びランダム化(randomization)手順
  • 縦断的研究(longitudinal studies)のための後続手順

データ収集 (基準と方法)

  • 測定変数(主要予測変数とその変数に該当するすべての結果)
  • データを収集するのに使用した方法と道具(計測器製造業者とモデル、検定(calibration)手順、その他研究者が実験を再現するために必要な情報)
  • 偏重の統制(例: blinding procedures)

データ分析

  • 技術統計 (例: 平均、中央値、標準偏差など)
  • 推定方法 (信頼区間、仮説的試験方法、回帰モデル、その他)
  • 混在(confounding)観察研究を処理するために使用された方法
  • 中間分析方法
  • サンプリング方法、加重値段階の修正事項
  • データ漏れ
  • 標本の大きさ
  • 検定力(statistical power)測定
  • 使用したソフトウェア

さらに、Methodsセクションを作成するときは次のような事項を考慮することも重要です。

その他注意事項

  • 過去時制を使用すること。(一つの事柄について記述する時は過去時制が適切)
  • 結果と実験手順を混同しないこと。実験手順について記述するのはMethodsセクションのみ。
  • 結果に関わる詳細な説明や背景情報は除くこと。(Discussionセクションに記載する)
  • 実験を再現するのに最低限必要な情報だけを記載すること。省略すべき情報を判断する際は、その情報無しに第三者が研究を再現した場合どのような結果が出るか想像してみること。
  • 正確な測定情報(単位を含む)を提供し、測定誤差もすべて公開すること。
  • 既に他の論文にて紹介されている方法を使用した場合、その方法について同じ説明を論文で再度繰り返すことはしない。その代わり、参考文献(reference)セクションで方法を借用していることについて明記し、研究方法部分では既存の方法に追加および変更した事項に関してのみ記述する。

以上の内容をよく確認して、効果的な研究方法セクションを完成させましょう。

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