2023年02月21日

セル(Cell)誌が指摘する英語論文での能動態・受動態の使用

Wordvice

こんにちは!英文校正ワードバイスです。

私たちのように、英語非ネイティブが洗練された英作文をするためにポイントとなるのは「能動態」と「受動態」の使用と言えます。受動表現の多い日本語をそのまま英語に直訳しようとするとネイティブから見て不自然な英文になることが多く、「態」にかかわる部分は当社で手掛ける英文書のうちでも多く見られる校正箇所の一つです。今回の記事にて論文における能動・受動表現のポイントをしっかり押さえ、適切に使い分けられるようトレーニングを積みましょう。

英語論文での能動態・受動態の使用

能動態 (active voice)

能動態は行動する人、または個体を強調する文法です。
例: Researchers found that high stress can cause heart disease.

受動態 (passive voice)

受動態は行動を受ける人、または個体を強調する文法です。
例: It has been found that heart disease can be caused by high stress.

論文では受動態を使用すべき?

伝統的に学術論文(科学論文)においては、客観性と非人称のトーンを強調するために受動態がより適しているとし、学術界にて好まれてきました。しかし、最近では受動態よりも能動態の使用を勧める動きがあります。

その理由は、受動態を使用しすぎた文章は複雑な構造を取りやすいため、読者の混乱を招くことがあるからです。また、受動態は文章を間接的かつ冗長にさせる傾向もあります。一方、能動態は受動態に比べ文章の単語数を少なくし、簡潔な表現にできるという特徴があります。よって、アカデミックライティングにおいては受動態と能動態を全体の文脈や表現したいニュアンスに応じて使い分けることが望ましいと言えます。

学術論文で言うならば、先行研究を紹介しながら自身の研究について述べるIntroductionやDiscussionセクションでは能動態の使用が適しています。しかし、段階やプロセスといった形式的な部分の正確さが行為者自身よりも強調されるべきMethodセクションでは受動態の使用が適切です。

受動態の使用場面

  1. 行為の主体が不明、もしくは重要でないとき
  2. 行為の責任者への言及を意図的に避けるとき
  3. 普遍的事実について述べるとき
  4. 行為の受け手、または行為を受けることそれ自体を強調したいとき

Cell誌が提案する能動態・受動態の使用

特に注目すべきなのは、トップジャーナルの一つである『セル』誌のエディターはactive voice(能動態)の使用を強く奨励しているということです。彼女は論文への能動態を使用に抵抗を持たないでほしいと主張しながら、Cellでは能動態を使用したという理由だけで論文をリジェクトしたことはない、と述べています。さらに、passive voiceを使用したからといって論文に客観性を付与することにはならないとも言及しています。例えば、“the cells were suspended”が“we suspended the cells”よりも客観的とは読めず、二つの文章はどちらも意見を提示している文章ではないと述べています。著者がどのような表現を使用するにしても、研究をデザインし、実行し、分析した内容については事実を明示しなければなりません。文法上客観性を強調するということは、可能な限り感情と個人的偏見を抑制し、事実を固守するということを意味すると彼女は述べています。

Cell誌が提案する能動態・受動態の使用

結論としては、「能動態・受動態のどちらが論文をより明確で分かりやすいものにするのか?」ということを判断しながら使い分けるのが大切と言えるでしょう。セル誌の指摘に則るならば、できる限り能動態を使用し、明らかな理由がある場合のみ受動態を使用するのが適切とも言えそうです。また、学術論文での“I”や“we”の一人称使用可否については学会や分野によっても慣例が異なるため、投稿するジャーナルの事務局や指導教授と相談することをお勧めします。

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