ライティングにおける並列性

センテンスの並列構造とは?

センテンスの並列構造とは、同じセンテンス中の単語、フレーズや節の文法形式が同一性を持つことを意味します。文章の自然な流れを助長する並列性は、項目をリストしたり、比べたりしているセンテンスに頻繁に適用されています。また、並列構造は、学術論文の見出しやセクション・タイトルにも適用する必要があります。

Incorrect
I enjoy books, writing, and painting.
correct
I enjoy reading, writing, and painting.

上記例文はどちらも項目をリストしています。1つ目のセンテンスでリストされている項目は「books」「writing」「painting」です。「writing」と「painting」は同じ文法形式(動名詞)になっていますが、「books」(普通名詞)だけは形式が異なっています。そのため、このセンテンスはぎこちなく、幾分バランス性にも欠けています。2つ目のセンテンスでリストされている項目は「reading」「writing」「painting」です。これらはすべて文法形式が同じであるため、センテンスを読んでいて自然で、読み手にもリズム感を与えます。

Incorrect
You can apply either by visiting the office or email.
correct
You can apply either by visiting the office or sending us an email.

上記2つのセンテンスでは項目同士を比較しています。1つ目のセンテンスで比較されているのは「visiting the office」と「email」です。この2つは文法形式が異なります(動詞句と名詞)。一方、2つ目のセンテンスで比較されている「visiting the office」と「sending us an email」は同じ文法形式になっています。

一連の項目(シリーズ)の並列構造

上述したように、リスト(またはシリーズ)に挙げられた項目は、その文法形式が統一されていなければなりません。このような項目は単語であったり、フレーズ、または節であったりで、一般的にカンマセミコロンと、「and」や「or」といった接続詞との組み合わせでつながれています。

単語の並列シリーズ

リストされる項目が単語の場合、並列構造を徹底させる第一段階は、項目である単語の種類の統一性を確認することです。すなわち、項目が名詞の場合には他のリスト項目も名詞とし、形容詞の場合は他も形容詞、動詞の場合は他も動詞にします。

Incorrect
She bought apples, potatoes, and is going to buy oranges.
correct
She bought apples, potatoes, and oranges.
Incorrect
We are looking for an editor who is organized, self-motivated, and has a good eye for detail.
correct
We are looking for an editor who is organized, self-motivated, and detail-oriented.

リスト項目が動詞の場合、すべての動詞が同じ形式になっていなければなりません。例えば、動詞が不定形の場合は、他のリスト項目も不定形の動詞であるべきで、分詞や動名詞と一緒にリストすることはできません。

Incorrect
I need to cook, showering, and study.
correct
I need to cook, shower, and study.

フレーズの並列シリーズ

動詞がシリーズでリストされる際には、一般的にはそれらを動詞句の形にします。動詞だけのリスト項目の場合と同様、項目となる動詞句も文法形式を統一させます。つまり、不定詩句の場合は他も不定詩句に、分詞句の場合は他も分詞句に、動名詞句の場合は他も動名詞句に、といったように形式を揃えてリストします。

Incorrect
Your primary roles are greeting clients, to answer the phone, and updating the company calendar.

「Greeting clients」と「updating the company calendar」は動名詞句ですが、「to answer the phone」は不定詩句です。この不定詩句「to answer the phone」を、動名詞句の「answering phone calls,」にすると並列構造を維持できます。

correct
Your primary roles are greeting clients, answering phone calls, and updating the company calendar.

文節の並列シリーズ

動詞節が項目になっている場合にも同様な原則が適用されます。リストする項目全ての文法形式を揃えます。

Incorrect
The children were told that they should not run in the halls, that they should not chew with their mouths open, and to not use profanities.

「That they should not run in the halls」と「that they should not chew with their mouths open」は同じ文法形式になっていますが、「to use profanities」だけは形式が異なっています。並列構造を徹底させるためには、「to use profanities」を修正して、その前にくる節の文法形式に揃える必要があります。または、他の選択肢として、他の2つの節を「to use profanities」と同じ文法形式に変えることもできます。

correct
The children were told that they should not run in the halls, that they should not chew with their mouths open, and that they should not use profanities.
correct
The children were told to not run in the halls, to not chew with their mouths open, and to not use profanities.

コロンの後にくる並列リスト

コロンの後にくるリストについても、項目を並列構造にします。

Incorrect
The fabricated composites were found to share three desirable characteristics: having a high resistance to heat, low brittleness, and high flexibility.
correct
The fabricated composites were found to share three desirable characteristics: high heat resistance, low brittleness, and high flexibility.

一対になった項目の並列性

リスト項目の場合と同様、一対になった項目も並列でなければなりません。 一対になった項目は、等位接続詞、相関接続詞、または比較級の単語でつながれている可能性があります。相関接続詞は7つあり(and, or, nor, but, yet, so, for)、これらを使って、項目を一対のペアとして結びつけることができます。リストの場合と同様、ペアを形成する両項目は、同じ文法形式になっていなければなりません。

Incorrect
We went shopping and to bike.
correct
We went shopping and biking.

相関接続詞は一組の語で構成されていて、センテンス中の項目を結びます。相関接続詞には次の5つがあります。
「either…or」「 neither…nor」「whether… or」 「not only… but also」 「both…and」

Incorrect
The samples can be collected with either a cotton swab or puncturing the epidermis with a needle.
correct
The samples can be collected with either a cotton swab or a needle.
correct
The samples can be collected by either swiping the inner cheek with a cotton swab or puncturing the epidermis with a needle.

センテンス中で比較される2つの項目も並列でなければなりません。「than」「as」「like」「over」といった語を使って項目同士を比較します。

Incorrect
We decided to examine the samples individually rather than scanning them all at once.
correct
We decided to examine the samples individually rather than to scan them all at once.

見出しと概要セクションの並列性

学術論文のセクション見出しにも同様な文法構造を用います。ジャーナルでは一般的にこのような決まりを執筆ガイドラインとして言明していませんが、セクション見出しに並列性を持たせると論文がより専門的で体系化されます。このことは論文の概要についても同様に言えます。

Incorrect
Symptoms and disease duration
Mortality rate is high worldwide
Transmission mechanism and the effect of immunizations
correct
Symptoms and disease duration
Mortality rates worldwide
Transmission mechanism and the effect of immunizations

記載事項の並列性

センテンス中の項目の文法的形式が統一されていても、その項目自体に一貫性や互換性がない場合には、依然として並列性に欠けています。センテンス中のすべての要素は互いに明確な関連性を持っているべきです。

Incorrect
We found that the experimental results agreed with the theoretical model and went out dancing in the city.

文法的には「found that the experimental results agreed with the theoretical model」と「went out dancing in the city」は同形式をとっています。しかし、この2つの項目がどのように関連しているのかに関しては不明瞭です。正しい意味での並列性を保つためには、2つの項目間の関連性が明確でなければなりません。

correct
We found that the experimental results agreed with the theoretical model, and to celebrate, we went out dancing in the city.